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『ニューヨーク便り』 No.5: 2000/2/22

オフ・オフ・ブロードウェイ

タイムズスクエアにあるような豪華で大きな劇場とは違い、 オフオフブロードウエイと呼ばれる100人も入ればいっぱいになるような小さい劇場。 お金がないので建物が古く、雨が降ると雨漏りがする。音響や照明機材もよく故障する。それでも芝居のメッカニューヨークの劇場だ。公演をしたいという希望者はあとを絶たない。そこに居付いている私の仲間について一言。

これほどいい加減な奴はいないというのがプリミーという男。 30代前半で子供があるが離婚している。飲んだくれで、女を追っかけてばかり。定職もないのでいつも金がなく、人によくたかる。私もいくら投資したことか?ユウジ、おまえはいい奴だ。おまえには金を借りているのはわかっている、という彼は1パック6カンのビールを抱えている。何か困ったことがあったらいつでもいってくれ、というので私演出の作品にでてもらうと、2日間の公演で、1日目はせりふがでたらめで、他の役者を混乱させ、2日目には無断欠席。公演は中止となる。もっともお客がだれもいなかったので、問題はなかったが・・・。

私の作品ではないが話題の公演でも欠席。このときは奴の姉さんから奴が風邪で入院している、と電話があったが、翌日大きなマスクをして現れ、声がでない、といいながら、公演は無事に終了した。 他の役者が帰った後、よくやった。早く帰って休め、とやさしく声をかけると、マスクを取り、風邪なんか、うそだよー、といい、昨日路上で麻薬を買っていたところ警官に見つかり、留置場に1泊させられたという。軽犯罪なので、記録に残らず、罰金$50だけ払って、釈放されたという。反省している様子はまったくない。ちなみに奴の兄貴は警官だ。何を考えているのか?そんな奴だが、酒の席に奴がいないと寂しい。

前述の私の作品にプリミーと一緒に欠席したのが、イスラエル、これも調子のいい、いい加減な男だ。 なぜ休んだ、と聞くと、プリミーがいかないからだという。俺に連絡ぐらい入れられないのか、といっても、黙っているので、今後お前の作品には絶対参加しないというと、あとからあやまってくる。彼も定職がなく、50以上の仕事を転々としたという。彼はシンガーソングライター、役者であると同時に、簡単な舞台の照明、舞台セット建設もする。彼の舞台セットは公演の初日が始まる前に完成したためしがない。オフオフの小さい劇場ではお金もほとんどもらっていないし、生活の仕事や他の作品の掛け持ち等の事情があるため、そう珍しいことではないが、通常公演が始まっても完成するまで続けるものだ。奴は初日があけると、完成していなくてもやめてしまう。奴も子供がいながら離婚している。子供は奴の母さんが育てている。なにはあれ、彼の歌は心に響く。

とても魅力的なルーキー。モデルをしたこともあるほどスタイルがいい。 30歳を越えているが、私は自分が大人である感じがしない、という。活発で思いやりがある。彼女はいつもどこか他のところを見ている。目の前にある現実ではなく、私達がわからない世界を見つめているのだ。身の回りには彼女がハッピーになることがたくさんあるのに、気が付いていないのだ。高校を終え、ショウビジネスにはいったが、生活のため、技術を持とうと、30歳ちかくで大学に入り、コンピューターを学び、卒業した。1年経つが、働く気がしないといい、無職のまま、親と同居していうる。男に負けないようにとウエイトトレーニングをしているというので、私とレスリングをしたが、強かった。にもちろん私の方が強いのだが、ちょっと油断した隙に私の首を太股で挟んでねじ伏せた。酒が入っていたので、危なかった。

他のものも含めて、みなそれぞれ自分なりのやり方で生きているが、いい加減であれ、 何であれ、劇場に集まり、酒を飲む時は最高である。

 

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